これまで人材業界に約30年、またトライアスロンというスポーツをするようになって約20年になります。この両者の経験が私にしっかりとした基盤を与え、紆余曲折の人生を歩んでくることができました。トライアスロンを行う人材紹介関係者の割合が相対的に多く、一見何も関係のなそうな両者に、何か関係があるのでは、という話を先日トライアスロンの仲間としました。以下がその内容です。
3つの要素
トライアスロンには、水泳・自転車・ランニングの3種類の競技があります。それぞれの競技にそれぞれ異なるスキルと知識が必要になります。3つの競技中に得意不得意があるかもしれませんが、レースを完走するためには、3種類全ての競技をこなさなければなりません。
人材紹介業も同様に、クライアント・求人・求職者という3つの要素があり、それぞれに異なるマーケット知識、スキル、アプローチなどが求められ、ベストな人材を見つけ出し、実りある結果に導かなければなりません。
長期的な視点
トライアスロンには距離により4つの種類があり、一番短いものでも、短距離というのではなく、やはり長距離と呼ぶにふさわしいものです。急激にハードなトレーニングを行ったり、自分の不得意な競技を無視して、得意な競技にだけフォーカスをするなどの応急処置的な対応は、結局はケガや故障につながってしまいます。
人材紹介業でも同様に、適さない求職者を推薦したり、求職者の弱い部分を隠して推薦するという労力を惜しんだ応急処置的な行為は、長期的には失敗につながってしまいます。
タイムマネジメントとプライオリティ
仕事や家族などの通常の生活への時間と、トライアスロンの3種類それぞれの競技へのトレーニング時間を確保し、今何に集中するべきかを知ることは、トライアスロンというスポーツを行う上で極めて重要です。
人材紹介においては同様に、もしくはそれ以上に重要で、クライアントもしくは求職者のどちらに今フォーカスすべきかを判断し、全ての関係者と適切にコミュニケーションをとることで、絶えず良い関係を築き、的確なプロセスを踏み、且つそれを各求人案件ごとに行うということが非常に重要になります。
主体的に動く
私は、「哀れなトライアスリート」という名のグループに所属してます。これまでの自分たちが犯した競技上の失敗を言い訳をせずに認め、またそれを楽しむグループです。ですが、疲れているときや自信喪失しているときでも、自分自身を鼓舞し、トレーニングを行っています。
人材紹介業も同様に、相当量の仕事をしているのに、全然結果が出なくてがっかりする時もままあります。人材コンサルタントは、何もうまく行かないように見えるときでも、自分を信じ、自分を律する必要があります。どちらとも、これまでの経験や知識やトレーニングを信じ、ゴールにフォーカスして、やりきることが成功のカギを握ります。
旅路を楽しむ
トライアスロンを首尾よく完走するために、トライアスリートは何ヶ月もの間トレーニングを行います。人材コンサルタントも各案件に何週間も何ヶ月間もかけ、プレースメント(成約)というゴールにたどり着きます。ゴールという目的地が自分たちの推進力にはなりますが、それは全過程のほんの一部分に過ぎません。本来はそのプロセスを楽しみ、その結果目的地に着くことが大切です。
これまで私が最もよく知る2つの事について述べましたが、これまでのポイントの多くの部分が追及する価値のあるものと思います。また、多くの仕事や趣味にも当てはまるかと思います。ゴールから目を離さないことは必要ですが、人生の多くと同じように、ゴールはこれまでの頑張りが実ったというのを示すものであり、ゴールした後すぐに(もしくは少しの回復を待って)次のチャレンジへの欲求が発生し、その過程を最初からやり始めるのです。